エピソード2<介護施設での当たり前?>

お仕事回想録
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エピソード1の続き、まだ初日の話です。

1年目にお世話になっていたこの施設は、初日から色々と見せてくれました。

介護の黒い、なかなか表に出ない部分です。

※今から20年以上前のことなので、

 この施設が今はどう変わっているかは分かりませんが、

 良くなっていて欲しい!と、心から願います。

お昼の休憩を終えて、午後からはオムツ交換をする先輩職員についてまわりました。

わざわざ声に出して言わなくても・・・

午後から、オムツ交換に同行させてもらいました。

まずは先輩職員について、見て覚えるというわけです。

先輩の男性職員さんと、女性職員さんに教わりながら準備をします。

汚物処理室で、オムツやゴミバケツを載せた、いわゆる『オムツ台車』に、

陰部を拭くために使う清拭用のタオルを載せます。

食後の口腔ケアの後、ほとんどのご利用者は居室で横になっています。

オムツ台車を押してご利用者の居室の前まで来ると、

男性職員さんが『ぶーにゃ』に一言。

「カレーがしばらく食べれんようになるかもしれんけど、まあ、慣れる。」

笑いながら言います。

良く分からないが「はい!頑張ります!」と、愛想笑い。

先輩職員さん共々、部屋に入ります。

居室は4人部屋で、部屋にはベッドが4つ。

間はカーテンで仕切られています。

そして、先輩職員さんの部屋に入って発した第一声に絶句・・・

「あ~もう、臭っさ。最悪。」

笑いながら大きな声で言います。

隣にいた女性職員さんもそれを聞いて

「ハズレ引いたね。頑張って。」

と、笑いながら言っています。

確かに便の臭いはしますが、わざわざ言うほどのことではないと思います。

ここではこうしたやり取りが普通なのでしょうか?

男性職員さんは、替えのオムツと清拭タオルを手に持ち、

カーテンを閉めると

ご利用者の横になっているベッドに近付き、

「あんた臭いで。もう勘弁してくれる?ははは、冗談、冗談。」

と、言いながら、布団を捲り、テキパキとオムツを交換していきます。

オムツ交換のやり方は丁寧に教えてくれますが、

ご利用者に向けて発した言葉が衝撃的で、

(自分のおじいちゃんがこんな風に言われたら嫌だな・・・)

と、気落ちします。

カーテンの向こうからは

「あ!こっちも(便が)出てる!もう最悪!臭い!」

と、女性職員さんの声が聞こえます。

職員同士、笑いあっていますが、『ぶーにゃ』はちっとも愉快ではありませんでした。

当時を振り返って

ご利用者の事を考えて本当に良いケアを行っている施設や、

高い倫理観を持って介護に携わっている素敵な人もたくさん知っていますが、

寝たきりで、言葉を発せないご利用者に対しての

こうした介護職員の心無い発言というのは

今もどこかの施設でひっそりと行われているのかもしれません・・・

家族が面会に来た時と、いない時で対応や表情が

180°変わる職員さんも見たことがあります。

なので、こうした問題はなかなか表に出難いのだと思います。

介護はとても大変な仕事です。

でも、大変だからといって、何をしても許されるわけではないと思います。

こうした発言は現在では『不適切なケア』と表現されますが、

『不適切』であるどころか『言葉の暴力』です。

自分の大切な家族がひどい扱いを受けていたら許せないと思います。

ご利用者は誰かにとっての大切な家族です。

介護に携わる人は、ただ業務を回すだけの歯車ではなく

高い倫理観を持ってご利用者に接して欲しいと心から願います。

『ぶーにゃ』は1年目の体験があまりに衝撃的過ぎたので、

今でも反面教師として、施設名や職員名は一切出しませんが、

新人職員さんに自分の体験を語り継いでいます。

さて、この後のエピソードにも『不適切』なケアがまだまだたくさん、

盛りだくさんで出てくると思います。

介護施設に対して不安を持つ人もいるかもしれませんが、

『ぶーにゃ』の体験を反面教師にして欲しいという想いがありますので

こうしたエピソードは書いていきたいと思います。

良いエピソードもたくさん持っていますし、

そうした体験も、もちろん書いていく所存です。

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